APR. 2022
こんにちは。 「Surface&Architectureの本棚」では、SAのメンバーが、これからの体験や新しいデザインを考えるときに「これぞ」と思う一冊を紹介しています。
久しぶりとなった今回のテーマは、「こころが動いた写真集」です。写真を見た瞬間、またページを開くたび、心が奪われる経験をしたことがある人も多いと思います。
今回は、5人のSAメンバーの文章から伝わるそれぞれの心の動き方の違いも面白いポイントだと思うので、ぜひ最後まで読んでみてください!
久しぶりとなった今回のテーマは、「こころが動いた写真集」です。写真を見た瞬間、またページを開くたび、心が奪われる経験をしたことがある人も多いと思います。
今回は、5人のSAメンバーの文章から伝わるそれぞれの心の動き方の違いも面白いポイントだと思うので、ぜひ最後まで読んでみてください!
『Swimming Pool』 Maria Svarbova
最初に海外雑誌で作品の一部を見かけたとき、その静謐さと異質さにページをめくる手をとめた。
スロヴァキア出身のマーリア・シュヴァルボヴァーによる本シリーズは、スロヴァキア国内10都市のスイミングプールを借り、カラフルな水着と水泳帽を身に着けたモデルたちを、感情の一切を排して空間に配置し、撮影されたもの。 その多くは、建物の柱やサッシ、タイルなどの直線や幾何学形の反復を背景に、感情の痕跡を消し去ったモデルをまるで人形のように存在させ、手法としてのミニマリズムを感じさせる一方で、計算されたかのような独特な色彩がノスタルジーを醸し出す。幾何学に対して有機の人間のフォルム、感情の欠落に対してどこか懐かしいカラーリング。これらの対比が、彼女の写真に対する違和感(物静かな物語なはずなのにどこか異様に感じる)として強烈なインパクトを与えるのだとおもう。ノスタルジーを感じるのに、ある部分においてSFのような未来感があるのも不思議である。スイミングプールシリーズの他にも医者や肉屋など、面白い作品テーマがあるのでぜひホームページをのぞいてみてほしい。
永山 / Art Director、Graphic Designe
スロヴァキア出身のマーリア・シュヴァルボヴァーによる本シリーズは、スロヴァキア国内10都市のスイミングプールを借り、カラフルな水着と水泳帽を身に着けたモデルたちを、感情の一切を排して空間に配置し、撮影されたもの。 その多くは、建物の柱やサッシ、タイルなどの直線や幾何学形の反復を背景に、感情の痕跡を消し去ったモデルをまるで人形のように存在させ、手法としてのミニマリズムを感じさせる一方で、計算されたかのような独特な色彩がノスタルジーを醸し出す。幾何学に対して有機の人間のフォルム、感情の欠落に対してどこか懐かしいカラーリング。これらの対比が、彼女の写真に対する違和感(物静かな物語なはずなのにどこか異様に感じる)として強烈なインパクトを与えるのだとおもう。ノスタルジーを感じるのに、ある部分においてSFのような未来感があるのも不思議である。スイミングプールシリーズの他にも医者や肉屋など、面白い作品テーマがあるのでぜひホームページをのぞいてみてほしい。
永山 / Art Director、Graphic Designe
『Early Color』 Saul Leiter
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催された大回顧展や、ドキュメンタリー映画の公開も話題になった、アメリカの写真家Saul Leitre(ソール・ライター)。1940年代から、情緒的な色彩でニューヨークを撮影したカラー写真の先駆者であり、有名ファッション誌の表紙も飾った写真家です。
「Early Color」は1950年代にソール・ライターが撮影していたカラー写真をまとめたもの。エモーショナルな一瞬の情景、ガラスや窓越しに見るその向こう側、斬新な構図、人々へ向けられた優しい眼差し、街の躍動を感じる色彩。いつ開いても、一枚のその先に思いをめぐらせたり、さまざまな感情が過ぎったり、私にとっては唯一無二の写真集です。
武田 / Editor
「Early Color」は1950年代にソール・ライターが撮影していたカラー写真をまとめたもの。エモーショナルな一瞬の情景、ガラスや窓越しに見るその向こう側、斬新な構図、人々へ向けられた優しい眼差し、街の躍動を感じる色彩。いつ開いても、一枚のその先に思いをめぐらせたり、さまざまな感情が過ぎったり、私にとっては唯一無二の写真集です。
武田 / Editor
『Uncommon Places: The Complete Works』 Stephen Shore
「こころが動いた写真集」ってお題でしょ?だったら私にはコレしかないでしょう。ど定番だけどスティーブン・ショアの「Uncommon Places」。
これ、マジ最高!これ、ヤバいでしょうホント。アメ車とかモーテルとか、それはそれは私が憧れたアメリカがギュウギュウに詰まっております。まぁ、ニュートポグラフィックスがどうとか、New Colorがどうとか、大判で撮られてるだとか、この写真集についてアカデミックに語るべきポイントは如何様にでもあるんでしょうが、そんなことはお構いなし。グラフィカルに切り取られたアメリカの情景、テンション爆上りです。
谷津田 / Graphic Designer
これ、マジ最高!これ、ヤバいでしょうホント。アメ車とかモーテルとか、それはそれは私が憧れたアメリカがギュウギュウに詰まっております。まぁ、ニュートポグラフィックスがどうとか、New Colorがどうとか、大判で撮られてるだとか、この写真集についてアカデミックに語るべきポイントは如何様にでもあるんでしょうが、そんなことはお構いなし。グラフィカルに切り取られたアメリカの情景、テンション爆上りです。
谷津田 / Graphic Designer
『高座』 橘 蓮二
数年前、昨年の10月に亡くなられた十代目柳家小三治さんの写真集が本屋に平置きされていたのを見かけたのが最初の出会いです。演芸家を撮り続けられている方で、本書は落語家を中心とした演芸家の方々の写真集となっています。
人に見られる・魅せる仕事をしている人の真剣な眼差しを、舞台の臨場感以上に引き出した写真を撮られる方だと思っています。個人的には、アイドルや歌手などを撮られたら一体どうなるんだろう…という妄想をしています(笑)
岩田 / Interface Designer
人に見られる・魅せる仕事をしている人の真剣な眼差しを、舞台の臨場感以上に引き出した写真を撮られる方だと思っています。個人的には、アイドルや歌手などを撮られたら一体どうなるんだろう…という妄想をしています(笑)
岩田 / Interface Designer
『本当の話』 Sophie Calle
写真とエッセイ本なので、「写真集」と言っていいか分からないけど、写真が面白い一冊。筆者自身に起きた不思議な体験が綴られた文章と共に、その時に撮った写真が添えられています。邦題にある「本当」という言葉とは逆に、ソフィ・カルの撮る写真はどこか作り物の「イメージ画像」のようで、嘘っぽさを演出していると思います。本を閉じた後、「“本当”って何だっけ?」というような、狐につままれたような気持ちになり、自分の視界に映る景色も少し嘘っぽく感じる、そんなちょっと奇妙な心の動きが感じられます。
大橋 / writer
大橋 / writer
いかがでしたか?
今回の記事で、写真集をみたときの自分のこころの動きを考えることは、写真集を見ることをひとつの「体験」と捉えるような気がしました。
今回ご紹介した写真集を一度手に取ってみて、ぜひ様々な心の動きを体験してみてください。
また次回journalの更新をお楽しみに!
また次回journalの更新をお楽しみに!