Opensource Hardware

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J.M.アッターバックの「イノベーションダイナミクス」を読み終えた。この本の中の大切な概念である、ドミナント・デザインやプロダクト・イノベーション、プロセス・イノベーションについてサマライズしてしてみようかと思ったが、どうも違うことを考えはじめてしまったので、このあたりの説明は別なところにもあるので割愛。

考え始めたのは、オープンソースハードウェア的な世界のイノベーションについて。(オープンソースハードウェアの話は、「ものづくり革命」に紹介されている。 )ユーザーが必要なモノ(ハードウェア、基板も)をユーザー自身がつくることができるような時代は来るのだろうか、来るとしたら「イノベーションダイナミクス」のプロダクトイノベーションやプロセスイノベーションはどんなことになるのか。そんなことをぼんやり考えている。

これまで、オープンソースハードウェア的な世界は、切削機や3Dプリンターが低価格化して世の中に浸透していくように考えていたが、(本当のオープンソースハードウェアはこういうものが必要になるとも思うけれど)Informal Repair Cultureのようなリサーチを読むと、ある意味すでにオープンソースハードウェアだなぁと思ってしまう(下部のリンクのPPTの写真はかなりインパクトあり)。ユーザーが直接作る、という訳ではないけれど、露店で修理ができたりカスタマイズができてしまうというのは、なんというか個人単位に近い。かなりグレーなカスタマイズが行われたりするネガティブな側面もあるが、”largely convenient, efficient, fast and cheap, reducing the total cost of ownership”、”increases the lifetime of products lowering their environmental impact”という社会全体に対する利益もありそうだ。先進国ではオープンソースハードウェアはこのようなにインフォーマルな形ではじまるというのは、想像し難いが、製品のカスタマイズや修理から浸透していくというのは、あり得なくもないように思う。

企業のイノベーション(プロダクトイノベーションやプロセスイノベーション)にはどんな影響があるだろうか。

ここはどうなるのかを予測するのは、難しいけれど、ソフトウェアで起きたこと(S・ウェバー「オープンソースの成功」を参照)から類推すると、プロダクト的なイノベーションもプロセス的なイノベーションのどちらも、ネットワーク外部性により速度や質が向上するのではないかと思う(安易な類推かもしれないけれど)。ユーザー自身が生産する、ということでプロセスイノベーションの価値はこの文化のなかでは低くなるのだろうか、あるいはプロセスイノベーションによってユーザーが生産する障壁を下げコミュニティを拡大する重要なファクターとなるのだろうか。

イノベーションがどうなるのかはまったく空想の域をでないけれど、オープンソースハードウェアは 大量消費後の世界観として、かなり魅力的な世界に見えるのだが。

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