「オープンソースハードウェア」という、あいまいに使っている言葉が気になり少し調べてみた。Wikipediaによると、2002年の世界情報社会サミットでアナン事務総長の発表が原動力になったとある。(少ししらべてみたが、このサミットの詳細は不明)この発言は情報格差をなくそうとしていたものだったようで、そう考えると「オープンソースハードウェア」はソーシャルな文脈からうまれてきた概念と捉えて良いのだろうか…
オープンソースハードウェアという言葉にはじめて触れたは、このブログでも何度か紹介しているニール・ガーシェンフィールドの「ものづくり革命」(2005)のなかで。「ものづくり革命」のなかでは、このような形で紹介されている。
これまで長い歳月にわたって、生産手段の所有・非所有が経営者と労働者を分かつ基準になっていた。しかし、工業生産の手段が簡単に入手できるようになり、設計を無償で共有できるようになれば、ハードウェアもソフトウェアと同じ進化の道をたどる可能性は高い。
工業生産の手段を誰もがもてるというところが、「ものづくり革命」のなかでの「オープンソースハードウェア」の大切なポイント。もういちど、WikipediaにもどるとWikipediaではオープンソースハードウェアとは以下のように説明されている。
オープンソースハードウェアは、フリー/オープンソースのソフトウェアを使ったハードウェアを指す場合と、ハードウェアの概要・設計・実装などの情報をフリーなライセンスで提供することを指す場合がある。
個人的な感覚から言うと、後者を指している場合が多いように思う。(昨年10月時点だと、まだ、その定義についていろいろな議論がなされているようだ。)
オープンソースハードウェアはその後少し文脈ずらしながら、MakeやInstructableなどによりDIYのなかで大きく盛り上がりはじめている….(hackaday.com)。商業的な文脈では、BugLabやChumbyなどいくつかのベンチャーがオープンソースハードウェアの取組みをはじめているのは周知のとおりだ。(最新の事例、技術動向などについては、日経エレクトロニクス1000号、1001号に詳しい。)
今後、オープンソースハードウェアという概念が浸透するのか、浸透したとするとデザインに対してどのような影響を与えるのかは良く分からない。それでも、現時点だとGainerのようなで手軽にハードウェアをスケッチできるデバイスが登場したことで、インタラクションデザイナーにとっては初期のデザインプロセスのなかで発想を広げ、実際に体験しながらスケッチを繰り返すということができるようになりはじめている。このようなデバイスを誰もが手軽に入手しやすいというところから、様々なデザイナーやアーティストが試行錯誤し表現の幅が広がって来てもいる。
一方で、日経エレクトロニクスの記事にあるように、ハードウェアのうちの嗜好性の高い筐体や外装が、カスタマイズされるようなことになると、ハードウェアデザイナーとしては仕事が無くなるような嫌悪感を抱くかもしれない。まだ、この先はわからないけれど、様々なジャンルのデザイナーにとってよい機会となるような接点を見つけていければと思う…
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