もちろん、マルチタッチではないが、スタイラス(ペンのようなもの)を使った文字入力
でPalmは良くできてた。
ジェフ・ホーキンスの話を読むと、開発当初、文字認識には相当苦労していた
らしい。 この時の話はとても面白くて、ユーザテストをしてみると、ユーザーは
何故、自分が書いた「A」を「A」として認識してくれないのか、その理由が分からない
から、ずーっと「A」を正しく認識してもらうことができなかったのだという。
システムが「A」と認識してくれる形=書き方がユーザーは分からないからだ。
そこで、正しい書き方(これはシステムが認識しやすい単純化されたものになっている)
を示して、そのとおりに書いてもらえば良いという、発想の転換が起こる。
システム側がいろんな人が書く「A」のパターンを認識して賢くなるのではなく、
ユーザ側がシステムに分かってもらう「A」の書き方を覚えるようにする、という
転換。
キーボードではタイピングを覚えるように、入力方法を学習してもらえるはずだ、
その方法がスマートで明快なルールがあれば、と考えたそうだ。
確かに、その通り。
フィジカルなインターフェイスを用いるとき、より直感的に操作できることが
良いことなのだが、ある時は、その操作を記号化(反直感的であるルールに基づいて
構成すること)することの方が、優れた解決になるということがある、ということなのだと思う。