IAMAS 小林さんの展示がAXISで行われます。
10日、11日は会場内でワークショップも行われるようです。これは楽しみ!
http://www.iamas.ac.jp/project/ui/handson/
日時:9月10日(木)?13日(日)11:00 ?19:00
場所:アクシスギャラリー(東京都港区六本木5-17-1)
主催:IAMAS(情報科学芸術大学院大学/岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)
協賛:株式会社 東芝、丸紅情報システムズ株式会社
IAMAS 小林さんの展示がAXISで行われます。
10日、11日は会場内でワークショップも行われるようです。これは楽しみ!
http://www.iamas.ac.jp/project/ui/handson/
日時:9月10日(木)?13日(日)11:00 ?19:00
場所:アクシスギャラリー(東京都港区六本木5-17-1)
主催:IAMAS(情報科学芸術大学院大学/岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)
協賛:株式会社 東芝、丸紅情報システムズ株式会社
コンピュータがどんどん小さくなって来ているのは周知のとおりだ。今後は砂のように小さなコンピュータやロボットを作ることが可能になり、この非常に小さな粒子を大量に制御することで、「粘土のようにカタチが変化するモノ」を作ることが可能になると考えられている。
このようなナノスケールの大量の粒子により形状が変化するモノは、プログラマブル・マター(Programmable matter)、あるいはクレイトロニクス(Craytronics)という名前で知られている。「プログラマブル・マター」という言葉は90年代前半、セル・オートマトンのような自己複製装置の意味で使われていたそうだが、90年代後半、半導体技術の進化により物理的な特性をプログラムできる可能性が見え始め、現在使われているような意味=「物理的特性をプログラム可能な大量のもの(any bulk substance which can be programmed to change its physical properties)」へと移り変わったという。2002年にはプログラマブル・マターを実現させるためのソフトウェアとハードウェアの調査プロジェクト、クレイトロニクスプロジェクトがカーネギーメロン大学で始まっている。
プログラマブル・マターやクレイトロニクスの具体的なイメージはこの映像を見て頂きたい。
インターフェイスの領域でも、「カタチが変化するということ」をテーマとした研究が行われている。今回はこのオーガニック・ユーザインターフェイスを紹介し、次回はMIT Tangible Media groupのRadical Atomsを紹介しようと思う。
オーガニック・ユーザーインターフェイスは、以下のように定義されている。
「オーガニックユーザーインターフェイス(OUI)とは、物理的な入力によって変化する、平面ではない表示装置をもっているユーザーインターフェイスである。OUIは、いかなる形にも変化可能な、出力装置であると同時に入力装置としても使えるディスプレイによって特徴づけられる。(An organic user interface (OUI) is a user interface “with non-planar displays that actively or passively change shape via analog physical inputs.” OUIs are characterized by displays that can change or take on any shape and their ability to use the display as an input device.)」
OUIを実現する技術は、大量の粒子を制御するという方法にかぎらず、実現方法は広くとらえられている。OUIは企業が製品として提供するにはまだハードルが高いが、カタチと機能の関係等、そのエッセンスは現在のインタラクションデザインのなかに取り入れて行くことができるのではないだろうか。OUIには、下記の3点のデザイン原則が掲げられている。
Input Equals Output:
GUIでは、マウス・キーボードからの入力をディスプレイに出力するという形で、入力装置と出力装置明確に分けられていた。OUIでは、ユーザーはオブジェクトを直接操作し、結果はそのオブジェクトに出力される。入力と出力が分かれてない、ということがOUIの特徴である。Function Equals Form:
オブジェクトのカタチにより、ユーザーはどのような入力が可能であるかを明確に理解することができる。Form Follows Flow:
オブジェクトはユーザーによって、折り曲げる、ねじる、ゆがめる、切り取るなどの操作により受動的にカタチが変わるだけでなく、ユーザーとのインタラクションに従って適切なデータを反映させるために、オブジェクト自らが能動的にカタチを変更する。
CraytoronicsやOUIはリアルタイムにモノのカタチが変わっていくという、これまでのモノのあり方とは異なる「モノ」が提示されている。ネット上のサービスでは既に工業的な文脈におけるモノのあり方を変容させる事例が存在する。
Shapeway
3D プリンティングサービスを行うShapewayでは、ユーザーが作成した3Dデータをリアルなものにしてくれるサービスの他に、ユーザー間での3Dデータの売買、簡易的なツールによるオリジナルアイテムの制作などを行える。Nervous System
Nervous Systemは、シリコンやステンレスなど、これまでジュエリーに使われなかった素材を使ったジュエリーの販売を行っている、ジュエリーのデザインは、自然界の複雑なパターンや、コンピュータによって生成されるものが使われているのが特徴だ。また、アプレットを使って自分でパターンを生成したオリジナルなジュエリーを作ることもできる。
この2つのサービスは、リアルタイムではないものの、ユーザーが作ったデータからオリジナルのカタチを手に入れることができるという点でこれまでにないサービスを提供している。現在は、3Dプリンターなどの特別な出力装置を使っているが、今後はCraytronicsのような小さな粒子を大量に制御する技術が進んだ時には「素材」自体がカタチを構成し、特別な装置は不要となるのだろうか…
いずれにしても、私たちがモノのカタチを操ることは、以前に比べて容易になりはじめているようだ。
次回は、Radical Atomsを紹介しながらこのあたりのテーマについてもう少し考えてみようと思う。
2009年9月8日追記:オーガニックユーザーインターフェイスのオーガニックには、ディスプレイに有機材料を使用することと、生物のように多様な形のモノという意味がある
参考サイト
プログラマブル・マター クレイトロニクス
http://en.wikipedia.org/wiki/Programmable_matter
http://en.wikipedia.org/wiki/Claytronics
http://www.cs.cmu.edu/~claytronics/
http://techresearch.intel.com/articles/Exploratory/1500.htm
http://jp.makezine.com/blog/2008/03/claytronics_nanoscale_rob.html
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0903/08/news002.html
http://wiredvision.jp/news/200706/2007061921.html
OUI
http://en.wikipedia.org/wiki/Organic_user_interface
http://www.organicui.org/
http://90mobilesin90days.com/index/?p=225
スイスのデザイナー、Florian Kräutliさんの作品。カーペットの上に立つ人がアンテナとなり、立つ位置で周波数をチューニングする、ラジオ。
ずいぶん、涼しくなってきました。気付けば、1月以上エントリーしてなかったようです。
この作品は、Moment Factoryが作ったもので、前をとおる人の動きにあわせて、ローレゾリューションのLEDディスプレイが変化します。大きさや明るさからくるハデさと、反応の愚直な感じが、なんとなくキャラクターを感じさせます。
「エクスペリエンスデザイン」という言葉はもう少し見直されても良いのではないか。
もうずいぶん前から、「ユーザーの経験をデザインする」ということが言われていたが、言葉から思い描くイメージと、実際のアウトプット=デザインされたものの間に、どうもギャップがあるような気がしてならなかった。このギャップの他にも、「金のなる木」になりそうなテーマというだけで、あまり「エクスペリエンスデザイン」が指し示すことが本質的ではない、あるいは茫漠としているように感じることが多かったようにも思う。インタラクションデザイナーやIAで、「エクスペリエンスデザイン」とか、「ユーザー経験のデザイン」という言葉をなるべく使わずにいた人も多いのではないだろうか…
自社が提供する製品を単体ではなく、製品同士が連携するシステムとして機能させることや、すべての顧客接点を調和した1つのシステムとして考える、「体験戦略(experience strategy)」という考え方もあるようだ。これはこれで、企業にとって重要な施策の1つだとは思うが、ブランドのなかに古くから存在する考え方に「体験」という響きの良い言葉をあてているだけなのではないかとも思えてしまう。製品連携についてもこれまでもずっと考えられてきているし、この連携から得られるものを「体験」とするのは、分かるような気もするが、やはり多少の違和感が残る。
最近、この言葉を見直し始めたのは、以前に紹介したBill Buxtonの「Sketching User Experience」で「経験をデザインする」ということが、わかりやすく説明されていたからだ。「Sketching User Experience」のなかで「経験をデザインする」ということが、彼の「オレンジジューサー」を使う具体的な経験からこのように説明されている。
彼は毎朝、ジューサーでオレンジを絞り、オレンジジュースを飲んでいるそうだが、手動のジューサーと電動のジューサーでは、ジュースの味も変わらないし、機能も変わらないが、経験は全くちがうと説明している。電動のジューサーを使うと、静かな朝が一変しオレンジを絞る騒音で神経が逆撫でられるようになったと…。また、手動のジューサーでも、オレンジを絞る機構の違いによって、その作業の趣が違ってくるともいう。
ハンドル操作でギヤが回転し、徐々に時間をかけてオレンジが絞られて行くタイプ(上の写真の銀色のもの)と、テコの原理を使って一気に絞るタイプ(上の写真の白のもの)では、一気に絞るタイプの操作はリズミカルで気持ちのよい操作になるという。(恐らく、オレンジが一気にスポッと潰れるのが気持ちよいのではないかと思う。オレンジの香りの広がり方も変わってくると思うし。)
この例がしっくり来るのは、PCのディスプレイのなかの話ではなく、毎日の生活のなかで使われる道具を筋肉と五感を使って操作しているからだと思う。確かに、フィジカルコンピューティングやタンジブルインターフェイスという文脈であれば、「エクスペリエンスデザイン」という言葉への違和感はそれほど強くない。むしろ、「エクスペリエンスデザイン」の本質を、機能や目的が同じ時、機構や実現方法によって人が受ける感覚や印象が変わる、その差分のようなものと捉えることの面白さに惹かれる。(その差分を追いかけてみたくなるというか…)
機能や目的が同じでも実現する機構が異なることによって、ユーザー経験が変わるということは示唆に飛んでいる。1つはデザインをしていく上でエンジニアリングが重要な要素となること、もう1つは、様々な機構の可能性を探り筋肉や五感を使って実際に経験できる方法が必要であるということ。「経験をデザイン」するのであれば、視覚的な表象だけでなく、経験可能なモノが必要で、それこそがハードウェアスケッチなのだろう。ハードウェアスケッチによって実際に経験することだけが、「感覚や印象の差分」を明らかにしてくれるのだ。
「エクスペリエンスデザイン」を、もう一度見直すことで 、ハードウェアスケッチで何をすべきなのかが透けて見えたように思う…
同僚から教えてもらったMITのProjectの1つdrawdio。紙に描いた線が楽器のようになります。
仕組みが単純で使い方が広がる道具?は素敵です。
こちらのページには、回路図やつくり方などが公開されています。また、kitの販売もされているようなので、夏休みの自由研究にひとついかがでしょう?
AR(Augmented Reality)を使用した作品はビジュアル的に面白いものを良く見かけますが、こちらはマーカーの回転を読み取ってスクラッチするというもの。
AR scratching from vanderlin on Vimeo.
さらにこちらは、上の”AR scratch”からインスピレーションを受けて作られたそうです。
Spinning vinyl ipod app from Theodore Watson on Vimeo.
SHARP × Think the EarthのコラボレーションによるSOLAR PHONE用の待ち受け。このデザインを担当しました。太陽光の充電量によって変化する4種類の待ち受けをダウンロードすることができます。
Solrar Polar Bear
Photon
Solar Light
Flare
充電量によって イラストレーションが変わっていくストーリー性が感じられるようなものから、粒子が飛び散るェネレイティブなものまで、パラメータ1つでもこれだけ表現の幅は広がるのだと改めて感じます。
Credit:
Direction : 佐々木 拓史(株式会社スペースポート)
Creative Direction: 岡村 祐介(株式会社アクシス)
Design:?大内 康太郎、山崎 達陽(株式会社アクシス)/? 根本 仙弥、谷津田 良之
Project Management: 尾崎 美穂子(株式会社アクシス)
カンファレンスやマガジンの発行を行っている、DESIGN IT!から第3号となる雑誌が7月1日発売されました。第3号の特集は「クラウド時代のインタラクション」。クラウドコンピューティングは、利用者に対して透明で体験自体の変化は無いのではないか?と、考えてしまいがちですが、デバイスに縛られない、場所を選ばない、ライフログの膨大な蓄積とその活用によるコラボレーティブフィルタリングの可能性、さらには、イアン・エアーズの「その数学が戦略を決める」に示されるような社会的な問題までを含んでいます。
今回の特集では、コンピューティングの歴史を俯瞰した上で、クラウドコンピューティングと関連する様々な取組みが紹介されています。「クラウド」という視点で現在を切り取って行ったとき、コンピューティングはどのように進化し、インタラクションはどのような可能性を広げるのか想像がふくらみます。また、今回の特集では、取材を受けデザイン的アプローチについてお話した内容を紹介して頂きました。是非、ご一読を!
*参考文献としては、もちろん「クラウド化する世界」もありますね。
Arduino製のキツツキが5分おきにドラミングすると他の仲間が答えるという作品。昨日のエントリーで、インタラクションから生まれるソーシャルインタラクションのことを書きましたが、この作品では、作品を自然環境がどう扱うかということまで考えられていてより深いですね!
wind-up birds (hc gilje 2008) from hc gilje on Vimeo.
Tom Igoe氏もサポートしていたということで、ご存知の方も多いかもしれませんが…